ターシャ・テューダー 静かな水の物語

~ターシャ・テューダー生誕100年企画~
アメリカを代表する絵本作家であり、世界中に愛された<スローライフの母>
ターシャ・テューダーの魅力を解き明かす永久保存版ドキュメンタリー

監督:松谷光絵 出演:ターシャ・テューダー/セス・テューダー/ウィンズロー・テューダー エイミー・テューダー 2017年/日本/デジタル/カラー/16:9 配給:KADOKAWA ©2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

2017年4/15(土)より、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国公開

作品紹介

「忙しすぎて心が迷子になっていない?」色とりどりの花が咲き誇る庭を眺めながら、丁寧に淹れたお茶をゆったりと味わう女性が、スクリーンの中からそう問いかける。現代社会に生きる私たちのほとんどが、大きくうなずくことだろう。

彼女の名前はターシャ・テューダー、アメリカを代表する絵本作家の一人だ。1938年に23歳でデビューし、コーギ犬が主人公の『コーギビルの村まつり』がベストセラーを記録、児童書の普及に貢献した人物に贈られるレジャイナ・メダルなど数々の栄誉ある賞に輝いた。

だが、ターシャを世界的に有名にしたのは、絵本だけではなかった。1971年、子育てを終えた56歳の時、ターシャはバーモント州の山奥に息子のセスが手作りで建てた18世紀風の農家に移り住む。2008年に92歳でこの世を去るまで、植物と動物をこよなく愛し、自然に寄り添った一人暮らしを続けたのだ。ターシャが作り上げた天国のように美しい庭は、“アメリカのコテージガーデンの手本”と称えられ、彼女の“ライフスタイル”そのものが人々を魅了した。
日本でも、1996年にターシャの暮らしを紹介した『ターシャ・テューダー 手作りの世界 暖炉の火のそばで』(KADOKAWA/メディアファクトリー刊)が出版されて話題を呼ぶ。彼女の言葉を集めた書籍や、庭を紹介する本が次々と刊行され、トータル400万部を超える大ヒットを記録、一大ブームを巻き起こした。さらにTVでもNHKで2005年から4本の番組が放送され、それ以降もファンの願いに応えて地上波とBSで再放送を繰り返す人気番組となった。

そして、生誕100周年となる2015年、ターシャの多彩な世界を紹介する展覧会が開催され、2年をかけて日本全国を巡回、オープニングを飾った松屋銀座では13万人が来場し、全国動員累計38万人という記録を達成した。

このメモリアルイヤーズのクライマックスとなるのが、本作『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』である。監督の松谷光絵が、10年間にわたり取材してきたターシャのリアルな姿。今回追加で撮影した新たな映像が加えられた。これまで撮影が許されなかった、書斎や洗面台などのプライベートスペースと、現在のテューダー家という非常に貴重な映像をカメラに収めることに成功したのだ。記念の年にふさわしい〈完全版〉の映画となって今、ターシャがスクリーンに蘇る。

タイトルの〈静かな水〉とは、「静かな水のように穏やかであること。周りに流されず自分の速さで進むこと」という、ターシャの言葉からとられている。「思う通りに歩めばいいのよ」と微笑む、自由な精神あふれる<スローライフの母>がのこしてくれた、「人生を存分に楽しむヒント」をあなたに──。

ターシャ・テューダーについて

ターシャ・テューダー  アメリカでもっとも愛されている絵本作家のひとり。1915年、ボストンの名家に生まれる。父はライト兄弟と肩を並べる飛行機、ヨット、帆船などの設計・製造技師、母は肖像画家という、創造的才能溢れる両親のもとで、愛情豊かに育つ。9歳の時、両親が離婚し、コネティカット州の両親の親友の家に預けられるが、その家の型破りな気風に大きな影響を受けた。子供時代、旧姓で仕事をしていた母ロザモンド・テューダーの娘と紹介されることが多く、その流れで母の姓を名乗るようになる。

 19世紀の農村の暮らしに憧れたターシャは、22歳の時、同じ思いのトマス・マクリーディと結婚。コネティカット州に数年暮らした後、ニューハンプシャー州に広大な農場を購入。多忙な農場生活のかたわら、花壇をつくり、工夫を凝らした年中行事や遊びで4人の子供を楽しませた。

 結婚と同時に、夫の姪を主人公にした手作りの小型絵本が出版社に受け入れられ、絵本作家に。子供や身の回りの動物を題材にしたターシャの絵本は、当時の児童書界に新風を吹き込んだ。また現物をよく観察したリアルでやさしい筆致の絵が好まれ、農業に興味を失った夫が出て行った後は、絵本、さし絵、グリーティングカードの仕事で生活を支えた。

 56歳の時、長年の夢だったバーモント州の山中に森に囲まれた荒れ地を購入。長男のセスに18世紀築の友人宅を模した家を建ててもらい、みずから「地上の楽園」と呼ぶ美しい庭をひとりでつくりあげ、自然に寄り添った生活を続けた。ここでの暮らしが本などで世に知られ、ターシャ流の庭づくり、シンプルライフ、前向きな生き方は、今も多くの人の手本になっている。

  ターシャ・テューダー年譜
1915年 8月28日 アメリカ、ボストンに生まれる。
スターリングと命名されるが、父が、気に入っていた『戦争と平和』の主人公の名ナターシャに改名。以後ターシャと呼ばれるようになる。
1924年 両親が離婚。母はニューヨークへ。ターシャは、コネティカット州に住む両親の親友の家族としばらく一緒に暮らす。
1930年 寄宿学校を経て、コネティカット州に母が購入した家で、母のアンティークショップ兼ティーハウスを手伝いながら、農業を始める。
1938年 やはり農業をやりたかったトマス・L・マクリーディと結婚。     
夫の姪シルビー・アンを主人公にした絵本『パンプキン・ムーンシャイン』を出版。
1940年 長女ベサニー誕生
1942年 長男セス誕生
1945年 『ターシャ・テューダーのマザー・グース』が、アメリカの優れた絵本作家に与えられるコルデコット賞オナーブックに選ばれる。
ニューハンプシャー州に広大な農場付きの古い家を購入し、引っ越す。
夫と共に本格的に農場を営みながら、様々な年中行事で子供たちを楽しませる。
次男トム誕生
1949年 次女エフナー誕生
ターシャの作品を販売する「ジンジャー&ピクルス・ストア」を夫婦で開業。
1957年 『ターシャのかずのほん 1はいち』が、再びコルデコット賞オナーブックに選ばれる。
一家でイギリスへ。1年間滞在。
農業に興味を失った夫と離婚。
子供たちと農場を続けながら、絵本や絵の仕事で暮らしを守る。
1958年 イギリスに残ったトムが送ってきたコーギの子犬に一目惚れ。以後コーギ犬を飼い続け、ターシャのトレードマークに。
1971年 児童文学への貢献を評価され、レジャイナ・メダル受賞。
日本訪問。
バーモント州の山中に土地を購入。18世紀築の友人の家をモデルにした家をセスに建ててもらい、美しい庭をひとりでつくり上げる。
2008年 6月18日(92歳)永眠。
自作絵本40数点、さし絵を描いた本40数点など、100点を超える作品を遺す。

登場人物

セス・テューダー Seth Tudor ターシャの第二子で長男。1942年生まれ。寄宿学校に入った期間をのぞき、母ターシャのもとで十代まで暮らし、マールボロ大学入学を機に自立してバーモント州へ。卒業後、教師の職に就くが、木工・建築を学び、大工に転向。同州マールボロに土地を購入し、住まいと工房を自ら建てる。2年後、バーモントに住みたいというターシャの要望を受け、放置されていた隣の土地の購入に尽力し、そこにターシャが望んだ「古く見える新しい家」を建てる。若い頃は自由奔放なところがあり、『コーギビルの村まつり』に登場するボガートはセスがモデル。妻マージョリーと結婚後は、ターシャ同様のライフスタイルを守り、晩年のターシャをそばで見守った。現在は、家具製作のかたわら、1999年にターシャ、マージョリーと共に立ち上げたファミリー・ビジネス「ターシャ・テューダー&ファミリー」の経営に携わる。著書に、ニューハンプシャー時代の暮らしを描いた『母ターシャの思い出』(KADOKAWA刊)。
ウィンズロー・テューダー Winslow Tudor セスとマージョリーの第一子で長男。1975年生まれ。養女の姉2人と共に子供の時からターシャの隣に住んでいたのでかわいがられ、ターシャの絵にもモデルとして再三登場。庭の世話や料理はターシャ譲り、大工仕事はセス譲りで、同じ敷地内に自分の家を建てる。長年ターシャを助け、現在は「ターシャ・テューダー&ファミリー」の経営に関わるかたわら、コーギコテージの保全に中心的役割を果たす。妻エイミーと共に、近隣に「ターシャ・テューダー・ミュージアム」を開設・運営。エイミーとの間に女児2人。
エイミー・テューダー Amy Tudor  ウィンズローの妻。学生だった1998年、夏のアルバイトにターシャの庭の草取りに来たことがきっかけでターシャと知り合い、ターシャの生き方・人柄に惹かれ、以後何年にもわたってターシャの庭を手伝う。2004年、ウィンズローと結婚。「ターシャ・テューダー&ファミリー」の経営に関わるほか、ターシャの死後、ターシャの生き方・考え方を守り、伝えるため、ほかの家族や編集者のアン・ベネデュースと共にNPO「ターシャ・テューダー・ミュージアム」を開設。館長を務める。
ジェニファー・T・ワイマン
Jennifer Tudor Wyman
 ターシャの最年長の孫。5歳の時、養母のマージョリーとセスの結婚でテューダー家に。ターシャは、子供達と楽しんだ年中行事を、バーモントでは孫達と楽しみ、ジェニファーも、裁縫や料理、行事のプロデュースや手作りの楽しさを教わる。現在、バーモント州バージェンス市のリゾートクラブに勤務するが、ターシャから学んだことが仕事のさまざまな面で役に立っていると語る。夫、二児と共に同市在住。
アン・K・ベネデュース Ann Keay Beneduce  アメリカ児童書界の重鎮でターシャの親友。ターシャの魅力を発見した編集者ユーニス・ブレイクの助手としてリッピンコット社に入社。その後、ターシャの担当を受け継ぎ、ターシャの本を数々プロデュースするうち親友となる。アメリカ児童書界では、編集、翻訳、執筆、プロデュースに携わり、国際児童書評議会(IBBY)やユニセフ米国委員会などの役員も務め、90代の現在もフリーで活躍中。編著書に『ターシャからの手紙』(KADOKAWA刊)。
ケイト・フォデアック Kate Foldeak  ターシャの最晩年、ターシャに付き添った介護士。ターシャとは年の差を越えて気が合い、晩年のターシャを支える家族の大きな力になった。家族と共にターシャの最期を看取る。
メギー
Meggie
 ターシャが飼った最後のコーギ犬。2000年に幼犬をイギリスから購入、明るい性格で、ターシャを楽しませた。
チカホミニー
Chickahominy
母鶏が放棄した卵をターシャが温め、孵化させたチャボ。最期まで寝室で飼っていた。

スタッフ

監督:松谷光絵 1983年国際基督教大学卒業。同年より「わくわく動物ランド」(TBS)、「世界まるごとHOWマッチ」(MBS)などTV番組の制作に携わる。以来、現在に至るまで動物ドキュメンタリーの他、「新世界紀行」(TBS)、「ネイチャリングスペシャル」(EX)、「世界遺産」(TBS)などの自然ドキュメンタリー、「ザ・ノンフィクション」(FNS)、「テレメンタリー」(ANN)などの人物ドキュメンタリー、「新・美に生きる」「芸術に恋して」(共にTX)、「迷宮美術館」「たけしアート☆ビート」(共にNHK)などの美術番組も数多く手がける。本作鈴木ゆかりプロデューサーとは「素敵にガーデニングライフ 海外編」(NHK)で出会い、「喜びは創りだすもの〜ターシャ・テューダー 四季の庭」(他ターシャシリーズ全作)が生まれた。2016年には映画『犬に名前をつける日』(山田あかね監督)で構成を担当、現在は細川護煕氏、柚木沙弥郎氏のドキュメンタリー映画2作が進行中。
企画・プロデュース:鈴木ゆかり 1989年テレコムジャパン(現テレコムスタッフ)入社。長い間番組制作に携わる中で、情報番組、紀行番組、スタジオバラエティー番組など沢山のジャンルの番組に参加。「はじめはフツーの主婦でした~料理研究家の幸福のレシピ」、「喜びは創りだすもの~ターシャ・テューダー四季の庭」他ターシャシリーズ全作、「猫のしっぽカエルの手 ベニシアさんの京都・大原手づくり暮らし」(全てNHK)等、「ライフスタイルドキュメント」を一貫して制作している。2013年には映画『ベニシアさんの四季の庭』(菅原和彦監督)をプロデュースし9万人を動員した。
撮影:髙野稔弘 1985年に専門学校卒業後、主にテレビ番組を手がける技術会社に就職。T Vドラマ、PV、劇映画など幅広く撮影を担当、1993年より現在の(有)蓮 設立メンバーとなる。そのころからドキュメンタリーを中心にカメラマンとして活動。松谷監督や鈴木プロデューサーらと共に「素敵にガーデニングライフ・海外編」、「喜びは創りだすもの ターシャ・テューダー四季の庭」他ターシャシリーズ全作(全てNHK)を担当。「猫のしっぽカエルの手」(NHK)や映画『ベニシアさんの四季の庭』(菅原和彦監督)でも撮影を担当した。
音楽:sione 1983年東京都出身。小学校時代より東京少年少女合唱隊に在籍。湯川潮音の別名儀。sione名義では声、唄を中心に楽曲は制作されるが歌詞はなく、唄は意味の世界から解放され、喜びも悲しみも軽やかに奥底まで届ける。 静謐であり恐ろしさも美しさも併せもつ新たな唄の世界と可能性をみせる。
音楽:world's end girlfriend 1975年11月1日 かつて多くの隠れキリシタン達が潜伏した長崎県の五島列島に生まれ、10歳の時聴いたベートーヴェンに衝撃を受け音楽/作曲をはじめる。 日本の魑魅魍魎が集まるVirgin Babylon Records代表取締役。2016年、6年ぶりとなる新作フルアルバム「LAST WALTZ」をリリース。
音楽:mio-sotido 作編曲家。音楽大学卒業後、楽曲制作&演奏活動を行う。映画音楽、short movie、TVドラマ、音楽番組、CM等の作曲、編曲、制作に多数携わる。三木孝浩監督、月川翔監督、鶴橋康夫監督、他映像作品。近年の主な作品『陽だまりの彼女』『ホットロード』他。
音楽:ハチスノイト(hatis noit) 北海道・知床出身の女性ヴォーカリスト。バレエ、演劇、雅楽、民謡などの経験を経て、自身の声のみで作られた初のソロアルバム「Universal Quiet」(2014)をリリース。クラシカル、民俗音楽、ウィスパー、ポエトリーリーディング等を昇華した独自の歌唱解釈で荘厳な歌世界を確立する。最新作にビョークの共同制作者として知られるマトモスが参加した「Illogical Dance」(2015)がある。
音楽:良原リエ 音楽家。アコーディオンやトイピアノ、トイ楽器などを多数収集し、演奏する。良原リエ、trico!、small color名義で国内外でCDをリリース、奏者として『コクリコ坂から』などの映画やドラマ、CMのレコーディング、手嶌葵など他アーティストのレコーディングやライブサポート、子供番組やwebの音楽制作、ミュゼットアルバムのプロデュースなど多様なジャンルで演奏を残している。最近では料理、庭、子育て、手作りなど暮らしまわりが雑誌などで紹介されるようになり、「食べられる庭図鑑」「たのしい手づくり子そだて」といった連載をもつ。著書に『音楽家の台所』(コノハナブックス)など。直近では、伊藤真澄、コトリンゴ、Babiとのトイピアノカルテット「toitoytoi」でTVアニメの音楽制作を担当、またトイ楽器の本を執筆中。
©2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会
Photos © Richard W. Brown
Illustrations by Tasha Tudor © Tasha Tudor and Family, Inc.